動物関連

飼育員を5年以内に辞める理由/非正規の現実

動物園の飼育員-非正規からの視点

動物園に就職したけど、5年以内に辞めていく人は多いです。

新社会人なりたての頃は
「ずっと飼育員やり続けるぞ!」と意気込んでいましたが、
年を重ねていくうちに「違う道進んでみたいな・・」と考え方が変わっていきました。

また、飼育員を辞めた後「いつかは戻りたい」と考えていました。

結構コロコロ変わっています。

辞めた人の数だけ理由が存在しますが、
今回は私が知る限りの事情と非正規雇用という点に着目して内容を掘り下げていきます。

暗い話ではなくリアルを感じてもらえたらと思います。

まずは、事前知識として知っておいて欲しいことから

非正規雇用は、契約期間が定められ、
 3年または5年まで更新が可能
 契約期間は、施設によって異なります。
更新は必ずされるとは限らない
 適性を見られています。
契約期間を満了したら退職
非正規で働く飼育員のほとんどは
 働く職場の正社員試験
 または他施設の正社員試験を受けている
 正社員試験に落ちてしまい、
 他施設の非正規試験を受ける人もいます。

非正規の不安定な立ち位置がお分かり頂けたと思います。

動物園では、とても多い事例です。

動物園を退職する理由

それでは本題の退職理由を思いつく限り出していきます。

  • 非正規で就職し、正社員になれず契約満了
    多くの人は正社員になれるよう努力しています。
  • 契約の更新がされなかった
  • 飼育以外にやりたいことを見つけた
  • 人間関係に疲弊した
    私はこの理由が7割です。
  • 3年働いたら満足した
    意外と耳にしますね。
  • 自分に動物飼育は向いていないと思った
    これに関しては、自分で決めつけず
    評価を踏まえたうえでそのように判断して欲しいです。
  • 一旦飼育を離れて別のことにチャレンジしたい。またいつか戻りたい
  • 家庭を持つのに、今の給与と待遇では養えない
  • 施設の方針と自分の考えが不一致
  • 寿退社
    おめでとうございます!

5年以上働く飼育員のほとんどは正社員

非正規雇用で働ける年数は決められているので、5年以上働くには正社員になるしかありません。

非正規を繋いで5年以上働くこともできますが、就職活動を続ける必要があります。

非正規を雇う主な理由は人件費の削減なのでしょうが、責任が重い飼育業務を正社員という立場で勤めてもらいたいと考えている人は多いと思います。

ではなぜ全国の動物園でそのようにいかないのか、明確な理由はわかりません。
(人件費問題が9割を占めていそうですが・・)

冒頭にもお話ししていますが、非正規で働く飼育員のほとんどは働く職場の正社員試験または他施設の正社員試験を受けています。

毎年、就職試験を受けるってとても根気が要ることだと思うんですよね。

就活3年目

今年も試験の時期がやってきた。
試験対策もこれで3年目かぁ。
正社員であれば、こんなこと考える必要も労力もいらないんだよな。

能力があっても落ちてしまいますし、

年をまたぐ度に悔しさが込み上げると思います。

逆を言えば、そのような過程を通過してきた人が正社員になれるということでしょうか。

基本どの施設でも正社員試験を実施した際、内部枠があります。

職場で力を注いでくれる人物を見極めたいのかは分かりませんが、このシステムは必要でしょうか?

正社員で採用しても試用期間を設けるはずなので、その期間で見極めたら良い話しだと思うんですけどねぇ。

これに関してはわからないので現役飼育員の方にも機会を設けて聞いてみたいと思いました。

納得いくような答えにたどり着いたとき続編としてお話しさせてください。

そして今は現実を変えることができないので、社会のルールに従うことが近道です。

飼育員/非正規の業務例

非正規と正社員の飼育業務の内容はあまり変わりません。

非正規が負えない、責任を伴う業務は基本正社員がおこないます。

状況によって非正規がやる仕事があるかもしれませんが、施設によりけりですね。

【非正規の労働例】
出勤してから動物の状態確認、餌の準備、展示場へ放飼、給餌、清掃、トレーニング、イベント企画、会議出席、動物の譲渡関連、デスクワークもやります

担当動物がいる場合は獣舎の鍵を所持しますし、治療の立ち合いや捕獲などもおこないます。

施設によっては非正規に正社員ばりの業務を求め、矛盾が発生しているところもあります。

こう見ると非正規の業務内容って正社員とあまり変わらないです。

非正規の失敗は上司(正社員)が責任を持つのが基本です。が、そこの境界線も施設によりけり。

非正規だけど、正社員と同じように仕事ができて嬉しい なのか
非正規に正社員と同じ要求をするなら、正社員として雇うべき なのか

捉え方は人それぞれ。

現役の時にベテランの方から

「非正規でも担当動物を持って正社員と同じ仕事ができるのは良いことだぞ」

と言われたことがありました。

当時の心情としては、葛藤がうるさかったです(笑)

非正規雇用はデメリットばかり?

非正規からの視点で内容を掘り下げてきましたが、様々な見方があります。

例えば

人によっては始めから正社員として働くことにプレッシャーを感じるから、まずは非正規から始めたいという人もいると思います。

本命の動物園で正社員として働きたいから、今は別の動物園で非正規として頑張ろうという人もいると思います。

現状をどうプラスに考えるかは自分次第で、モチベーションに繋げられるかも自分次第です。

長い人生ですから、飼育もアレもコレも経験したいと好奇心旺盛な思考も素敵です!

人生は、いくらでもやり直せるのでハッピーな生活を送れるようにお互い頑張りましょう。

今日の一冊『動物の死は、悲しい?』

『動物の死は、悲しい?』著者:元旭山動物園の飼育員あべ弘士さん
初めて読んだのは、高校3年生の時。
命あるものには、必ず死がつきもの。これは、人間の世界でも同じですよね。
飼育員としていろんな動物の死と直面した時、どんなことを感じていたのかがリアルに描写されています。特に、ゴリラの話しが一番好きなんですよね・・。私の初心を思い出させる本でもあります!


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