動物関連

動物園の運営体制 / 公立と民間それぞれの特徴

チンパンジー

「動物園はどのように運営されているのか?」

学生時代、運営母体について調べていたことがありました。

母体は分かったとしても、動物園事業にどう影響しているのかがよくわかりませんでしたね。

ということで今回は、動物園における公立と民間の特徴/経済的側面についてお話ししていきます。

公立と民間の見分け方

まずはざっくり結論から申し上げると

公立は都道府県及び市町村による
直営or指定管理or業務委託

例:上野動物園(入園料600円)

東京都が東京動物園協会に指定管理者として
飼育業務を含む事業運営を全面的に業務委託

民間は営利企業、鉄道会社など

例:東武動物公園(入園料1,700円)

東武レジャー企画株式会社が運営

なるほどくん

業務委託?指定管理?と聞き慣れない単語がありますよね。
わからない単語は検索して調べてみよう!
動物園での就活中は必ず出てくるワードだよ。

では、公立と民間の運営体制とそれぞれの特徴を掘り下げていきましょう!

公立動物園の特徴

公立動物園の例として、上野動物園は東京都が東京動物園協会を指定管理者としていますが、静岡県にある日本平動物園の場合は静岡市が直営しています。

運営体制は施設によって異なるので、公立動物園に就職を考えている方は体制についても調べてください。

公立動物園の経済面(一例)

動物園事業収入+税金+(寄付) 動物園事業の収益のみでは完全赤字なのが現状

中学生以下は入園料無料、入園料じたいが無料という施設が多数あります。
”市民の憩いの場”といような目的があるためか入園料を値上げすることが難しい。

市民

私たちが支払っている税金で運営されているのよねぇ。
入園料は今のままがちょうどいいわ。

誤解を招いたらすみません。

旭山動物園の例

旭山動物園が2020年4月より
入園料を820円→1,000円に値上げしましたね。

これまでの常識を覆すための良い指針だと思います。

こんな記事を見つけました。
旭山動物園の園長:坂東元さんインタビューの一部を抜粋

生きているライオンを生で、500円で見ることができてよいものかどうか、と考えてみてほしい。キリンがそこにいることは、本当は1,000円で見られて良いものではないかもしれない。

払ったお金に対する価値という感覚がどうしてもあると思います。だから動物園はすごく安く見られる。気軽に見られるという良い面もあるんだけど、気軽に見えてしまう生き物だから、「そいつらが大変なんだよ」と言ってもその価値がわかりにくいという面もあるかもしれない。 

引用:幸せ経済社会研究所

全文はコチラ

民間動物園の特徴

鉄道会社や営利企業などが運営

静岡県にある伊豆シャボテン動物公園は、伊豆シャボテンリゾート株式会社が運営しています。 
レジャー事業を中心にビジネス展開しているようで、動物園の他に伊豆高原旅の駅・伊豆海洋公園等を運営しています。

民間動物園の経済面(一例)

動物園事業による収益が経営に深く関わっているため入園料は公立動物園よりも高い。

伊豆シャボテン動物公園の入園料→大人2,400円

入園料だけでなく、園内に有料の餌やり・写真撮影・触れ合い・動物ショーなど収益に繋がるための工夫を設ける必要がある。

動物たちの餌代や職員のお給料が支払えなくなってしまうため、必要不可欠?

公立動物園では収益が発生する場合、事業計画外のことはできないorするためには様々な過程が必要なので自由度は低いです。

好奇心

民間動物園って動物と触れ合えるし、有料だけど写真撮影もできる!面白そう〜♪

まだまだ、動物=娯楽という概念が浸透している今の時代です。

収益、集客を目的とした企画というのは、もちろんお客さんの興味を惹くことができます。
一方エンターテイメントで終わってしまうというのもあるのかなって。

この辺のジレンマはよく耳にしていましたし、私自身もモヤモヤしていました。

公立と民間働くならどちらの動物園?

公立だからって収入が安定しているとは言い切れませんし
(でも大手は安定しているイメージがあります)

民間だからって収入が不安定とは限りませんし。

結果、施設によるんですよね。

真剣

公立は自由に限度がありそうだし、民間は闇が深そうだな・・。

ちょっと待ってください!

公立・民間関係なく全ての飼育員たちは、
『来園者に動物のことを伝えたい』
という根幹を持っています。
また、どちらも財政難であり来園者の減少など抱える問題は同じです。

固定概念はある意味厄介です。

就職活動中に動物園へ足を運べるのであれば、隙を見計って飼育員さんに話しかけてみましょう。

実際に働いている人のお話しを聞いてみてください。

TwitterのDMやお問い合わせフォームより質問・相談を受け付けています。
気軽に送ってくださいね。
Twitter:@keeper_website

下記の記事では動物園の採用試験についてまとめています。

試験勉強
動物園の採用試験/公立と民間動物園の飼育員になるためには、書類・筆記・面接試験を突破する必要があります。公立動物園と民間動物園で試験内容が少し異なるので、それぞれの試験傾向について書いています。特に公立動物園は面接試験が四次まであることも。飼育員の採用試験は全国から応募が殺到するので、狭き門です。...

今日の一冊『動物園学入門』

「動物園学入門」著者:村田浩一さん、成島悦雄さん、原久美子さん
動物園は、動物生態の研究・普及の拠点として社会における重要性を増しています。日本の動物園の歴史、意義と機能、動物園動物の捕獲・飼育・行動生態・繁殖・福祉などについて総合的に説いて「動物園学」の確立を目指す一冊です。
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