動物園の飼育員あるある
飼育員を目指す方は「そうなんだ!」と新しい気づきを得られるかも。
現役飼育員の方は「あー!確かに!」と客観視できるかも。
飼育員を引退された方は「そういや、そんなことも」と懐かしく感じるかも。
動物関連外の方は「なるほどー!」と思うかも。
※動物施設によっては、全くあるあるではないということもあります。
スタートです٩( ‘ω’ )و!
1.常に効率化を意識している
一日の中で必ず時間を捻出したいのが「動物の観察」でした。
時間帯によって動物たちの動きは変わりますし、体調の変化が起きていたらいつから不良を起こしていたのか?を考察しやすくなります。
ですが、朝・昼・夕と決まった飼育ルーティーンがあるので
いくら観察が大切だったとしても、ずーっとそこに時間を費やすわけにもいきません。
なので、調餌や清掃などで効率化を図り、自由に動ける時間を捻出できるように動いています。
動物園の飼育員さん、めちゃくちゃ歩くスピードが早いんですよ笑
新人当初、上司の歩くスピードについていけないので小走りしていたこともありました。
効率化を図る作業として代表的なのは、調餌・清掃・移動あたりだと思います。
調餌で言うと、餌を切るスピードを早くすることで調餌にかかる時間を短縮できます。
飼育員の包丁捌き、めちゃ早いです笑
【飼育作業】清掃時のエピソード
ほうき・ちりとり・デッキブラシ・水ホースなどの道具を順番に使う作業があった時
道具のチェンジですら時間短縮したいので、人様には見られたくないスピードで動いていました笑
掃き掃除のリズムなんかも、恥ずかしいスピードでしたね。
肝心なのは、スピード+適当に掃かない(確実にブツをとらえる)
このセットを満たすためには、清掃前にブツ(捨てたいヤツ)の配置をサッと確認したり
いつもブツがある場所みたいなのがあるので、そこをおさえたり。
清掃時は獣舎や展示場を全体的に確認しますが、掃く準備をして少しでも時間短縮を図ります。
現役の時は、園内を走ることもありました。
(来園者と動物に見られないように)
走る人は滅多に見かけないので、早歩きがベターなのでしょうかね!
清掃前は個体の変化や行動を確認できるポイントがいくつかあります。
排泄物や残餌の量、抜け毛の量、ベッド作った形跡などなど
痕跡から彼らがどんな風に過ごしたのかを考察することができます。
【飼育作業】一日の作業例
一日の飼育作業例は以下の通りです。
朝:個体の状態確認→調餌→展示場に餌を設置→個体を展示場へ移動→個体の観察→開園準備→獣舎清掃
昼:調餌(朝夕より少ない量)→個体の入れ替え→給餌→個体の観察→休み時間
夕:調餌→獣舎に餌を設置→個体を獣舎へ収容→個体の観察→展示場清掃→閉園作業→施錠確認→日報
※個体の入れ替え:一日中展示場に放飼しない動物は獣舎に一度収容します。
例に挙げた作業の間にも観察や設備点検など色々やっています。
個体の観察時に異常を発見したら治療が入るかもしれません。
すると作業が大幅に遅れ、飼育業務だけで一日が終わるなんてことも珍しくありません。
治療が入る事態は起きてほしくないと思いますが、人間と同じように動物も体調を崩すことがあるので、治療時は飼育作業を優先することはないです。
このように一日中えっさほいさと動きながら、効率化を図り隙間時間をつくります。
ちなみに自由な時間を捻出できた時は、展示場整備・エンリッチメント創作・観察・デスクワークなどをやっていました。
2.冬の水作業は地獄
冬の水作業はめちゃくちゃ寒い。
跳ね返る水しぶきで作業服が濡れますし、ゴム手袋を付けていても指先はガチガチに冷えます。
清掃が終われば着替えられますが、夕方の清掃でまた濡れてしまうんですよね。
水が勢いよく出ているホースを誤って離した時はもう大変。ちぎれたトカゲの尻尾のように、ウネウネ動くので「あー!(冷たい)」ってなります。
温帯に生息する動物の獣舎内は暖房がついていますが、水作業はやはり寒いです。
そして、冬の爬虫類館は天国かってくらい暖かい。
3.年数と共に増える鍵と腰道具
過去に勤めていた動物園ではベテランほど所持する鍵の本数が多かったです。10本とか。
新人の頃に先輩から「責任と共に鍵の本数も増えるぞ!」と言われたのを覚えています。そして先輩のじゃらじゃらついた鍵を見て、目がキラキラしました。
実際に鍵の本数が増えたときに感じたことは、担当動物や施錠確認する回数も増えるということなので先輩の言う通り責任感がより芽生えました。
鍵と共に増える腰道具とは・・
たまに大工さんですか?というくらい、腰道具をつけている飼育員さんもいます。
先輩の剪定鋏のケース年季があってかっこいいな・・。
私のケースはピカピカ・・。
使い込まれた腰道具を見て、かっこいいーー!!って心の中で思ってました。
ピカピカの道具がどんどん使い込まれていくと愛着が湧きます。
腰道具を使う用途としては、
飼育員は”なんでも屋”な時があるので、展示場に設置する物の創作や展示場の修繕(程度による)を自身でおこないます。
また園内に生えている植物を刈り取って、動物たちに与えることもあります。そんな時役に立つのが手ノコや剪定鋏。
始めこそ剪定鋏だけだったものの、ドライバー、手ノコ、メジャーなど腰につける工具がどんどん増えていくことも。
実際に修理したいと思ったその時に工具を身につけているか、いないかでテンションが変わることもあります。
『あー!ペンチが手元にない!_(┐「ε:)_』
『取りに戻るのか_(┐「ε:)_』
4.休日でも担当動物のことが気になる
恋人に対して「今頃何してるかな〜」と考えたことはありますか?
それと同じように、プライベートでも担当動物たちどう過ごしてるかな〜と考えます。
今は10時だからいつも通りなら展示場(放飼場)で活発に動いているだろうなぁとか。
治療で入院している個体は特に心配なのでソワソワしますし、出勤者に状態を確認することもあります。
プライベートと仕事は分けたいところですが、完全に切り離して過ごすって簡単なことではない気がします。
5.動物の名前間違え、指摘するか迷う
もしも動物関連外の友人が、
カピバラ→カピパラと間違えていたら指摘(訂正)しますか?
◯オランウータン→✖️オラウータン
◯サンショウウオ→✖️サンショウオ
指摘してちょっと変な空気になりそうだと思ったら、聞かなかったフリ見なかったフリをします。
けど指摘しなかったらしなかったで、少しモヤモヤ。
これは、あるあるなのかわかりません。笑
動物関連外の方に最も伝えたいこと
今回あるあるを通して飼育員の人間味をお伝えできればと思い、このような記事を書きました٩( ‘ω’ )و
飼育員=動物飼育
という概念が一般的にありますが、それだけではありません。
担当している動物たちのことをどんな方法で来園者に伝えようかと試行錯誤することも飼育員の仕事です。
動物園とは来園者がいてこそ成り立つ施設だと思っています。
そして来園者が動物園を去る時に「可愛かったね」だけで終わらない工夫が必要です。(この工夫とやらが悩ましかったりするんです)
全国の動物園で実施している工夫
動物園を歩いている時に、個体紹介のキャプション(解説ラベル)を見かけたことはありませんか?
動物の種名 / 分類 / 生息地 / 生態・・
実は、
- どんなフォントが見やすいか
- 手書きにしようか
- 内容をつめすぎたら読みにくいだろうかなど
紙切れ一枚作成するまでにいろんな作戦を練っています。
本当ならば来園者一人一人に動物の解説ができたらいいのですが、不可能に近いです。
飼育員が直接解説できない分キャプション頼りなところも。
なので園内に設置されたキャプションは「来園者に届けっ」と想いが込められたメッセージだと思ってください٩( ‘ω’ )و
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