前半の記事では、佐渡島のこと/トキの森公園の概要と資料館などについてまとめました。
後半では、トキふれあいプラザで見たこと・感じたことをまとめていきます。
トキふれあいプラザ
現在、自然界にはおよそ300羽のトキが生息しています。
まだ野生定着レベルに達していないことから、佐渡市民をはじめとする多くの人たちが
野生のトキを目にすることが難しい状況です。
この施設ではトキが飛翔可能な大型ケージを整備し、その中により自然に近い環境を再現することで
飛翔、採餌、巣作り等トキの生態を観察できるように整備しているそうです。
写真のバードケージでは番が展示飼育されています。
高さがあり広々としたバードケージ
①の巣を拡大
私が訪れた時は2019年4月25日
抱卵中か育雛中の様子を望遠鏡で覗き見ることができました。
どっちだったかな・・。
望遠鏡はお客さんと代わりばんこ。
ここの展示場へ来るまでの間に、トキの生態パネルや施設での活動内容をたくさん目にしたので、実物への期待が高まりますよね。
バードケージは上から、下から見られる展示構造になっています。
トキの個体識別
個体表
②トキは、オス(勇気)
抱卵か育雛中の「勇気」
黄・赤の足輪「さくら」
1F展示場通路
ドジョウを捕るさくら
あれ!今どこにいるの?
展示場にいるお客さんの滞在時間が長かったです。
資料館でトキの生態をインプットしているため、行動の観察をしている方が多い印象でした。
トキの森公園なので当たり前ですが主役はトキ。
採食・移動している様子を見るお客さんからは、歓声の連続。
動物園であれば、(スルーされがち)なのである意味珍しい光景だなぁと思いました。
動物園で歓声が上がる動物と言えば、人気動物が主なので。
動物園に動物種がいすぎても、
記憶に残る動物が限られてしまうなぁと。
『動物がたくさんいる』ことは魅力的ですが、
その分人気に落差もできやすい。
見られる動物が限られている方がじっくり観察できるので知識に繋げやすいのかな。
お客さんの反応から、そのように感じました。
1F展示場通路
展示場内にも解説パネルがめちゃくちゃ設置されていました。
それとVRが置いてあって、装着するとトキが目の前で歩いてます!
「おお〜最先端w」
展示場を抜けて外に出ると、保護センターの一部(赤いケージ)が見えます。
トキ野生復帰への取り組み
佐渡市では、トキとの共生を目指して多様な生物が生息できる環境を整えるために、
トキの主な餌となるドジョウなどが生息する田んぼで「生き物を育む農法」を島全体で取り組んでいます。
田んぼの水を抜く中干期にも「江」と呼ばれる深みを設置し、生き物の逃げ場となる水辺を作り、1年を通して生き物が生育できる環境を作っています。
他にも・・
- ビオトープ、棚田の整備と維持管理
→行政を始め地域住民、NPO等による餌場の復元やビオトープ作り、里山の保全活動、環境保全型農業への取り組み、小中学校での環境教育が実施されている。 - トキが生息できる環境づくり~森林~
→トキの営巣であるマツ林を保全するために、松くい虫被害対策をおこない森林環境を整えている。
2019年1月時点では、
約350羽をリリースしているようです。
佐渡トキ保護センターのHPでは
・野生復帰の順化開始
・出生・死亡報告
・放鳥の日程
など逐一報告をあげています。
そして2020年は、佐渡島内に220羽のトキを定着させる目標を定めているそうです。
※「220羽の定着」とは、220羽以上の個体が野生下で1年以上生存し、野生下で繁殖した個体を含む個体群が形成されているものとする。
350羽のなかには、追跡不可能になった個体もいるようです。
野生復帰までとその後の調査も含めて『保全』だなぁと思わされました。
トキの森公園 / 感想
- トキの生態
- 日本産トキ絶滅の経緯
- 佐渡島が保護に取り組むワケ
- 地域の人たちも保護に取り組んでいて
その内容と結果 - 飼育から繁殖するまでの道のり
- 飼育個体に愛情を注いでいること
- 「昔はトキがたくさんいた」と語るおばあさんの優しい口調と眼差し
- 彼らを守りたいという気持ちがあふれていたこと
- 目指す未来
トキに関する様々なことを知ることができました。
そして『保全』ってこれを指すんだ
そう感じました。
地域の人は野生のトキを見かけたら
大きな音を立てず、静かに見守るそうです。
彼らの生活を邪魔しないということ。
仕事で動物に携わっていない人からそのようなお話しを聞くことはとても新鮮でしたし、感慨深かった。
ヒトとトキの未来像
何かをスタートさせたら、目指すゴールを決めることは大事ですよね。
モチベーションになるし、具体的にどんな活動をする必要があるか
ゴールから逆算して考えることができます。
この未来像から・・
地域の人々の協力を得ながら保全に取り組んでいるからこそ、描けるゴールなのかなと思いました。
施設が独自に飼育と繁殖を繰り返していたら
辿り着けなかったかもしれません。
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今日の一冊『朱鷺の遺言』
『朱鷺(トキ)の遺言』著者:小林照幸さん
せっかくなので、トキに関する本。
トキの保護に立ち上がった人々の軌跡を追ったノンフィクションストーリーニッポニア・ニッポンをめぐるドキュメンタリー。朱鷺に魅せられ、その絶滅を阻止するために奮闘し、やがてその最期を見届けることになった人たち。1つの種の栄枯盛衰の終末を見届けた記録である。